大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和24(オ)227 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告代理人弁護士吉井晃の上告理由について。

原判示はその趣旨必ずしも明確ではないが、判文を熟読すれば、いわゆる買収対

価なるものは所論公定価格すなわち畑については所論賃貸価格に四八を乗じた額を

最高額とし、その範囲内において当該畑についての特有な特徴ないし状況を斟酌し

た妥当な線で決定すべきであり、右最高額を引き下ぐべき事情のない限りは最高額

を以て相当と決定して毫も差支ないものであるとの見解の下に(所論は右最高額と

所論標準価格との中間をとるべきものと主張する)、本件畑については判示のよう

な事情があつて最高額を引下げる程の事情があるものとも認められないから、判示

最高額を妥当と認むべきであると判断し、延いて、所論買収対価は結局相当でない

との趣旨を説示したものであると理解することができる。さすれば、原判決は所論

と全く別異の観点から所論買収対価の当不当を判断したものとは云い難いから原判

決が所論と異る見地から所論買収対価についての判断をしたことを前提とする所論

はすべて採用に値しない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと

おり判決する。

裁判官斎藤悠輔の補足意見は、次のとおりである。

わたくしは、憲法二九条三項にいわゆる「正当な補償」とは、被用私有財産の客

観的な経済価値の補償を意味し、従つて、自創法六条三項本文の規定は、農地買収

の一応の標準を示したに過ぎないものであるから、同条項但書の特別事情等をも参

酌して、それよりも高額な補償を求めうるものと考える(民事判例集七巻一三号一

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五四三頁以下、九巻一一号一六九四頁以下私見参照)。従つて、本件農地の価格を

自創法六条三項本文の法定最高価格を相当とし、これを減額すべきでない旨の原判

示は結局正当に帰する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 下 飯 坂 潤 夫

裁判官 斎 藤 悠 輔

裁判官 入 江 俊 郎

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